第4回 関心が高まる音楽療法と健康法
(1)音楽療法とは?
はじめに
WHO(世界保健機構)憲章の序文に健康の定義があります。
「健康とは単に疾病や障害でないだけでなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態である」

古代の昔、自然への畏れから信仰が始まり、音楽は呪術や儀式に関わる重要なものとして、時には鎮痛剤として用いられていました。中世、聖歌に代表される宗教音楽が発展し、悲しみを和らげ、怒りを鎮めるなど、音楽を通じた神とのつながりを感じていた時代もあります。
長い歴史のなかで、音楽は人と共にあり、さまざまな形で人を癒してきたといえます。近代、大きな戦争による精神的なダメージを被った人の治療として、米国では組織的に音楽療法の研究が盛んになりました。
1950年には全米音楽療法協会(NAMT)が設立され、日本でも1960年代から研究が始まり、1986年に日野原重明先生が日本バイオミュージック学会(現在の日本音楽療法学会)を創設されてから、TVや新聞にも取り上げられるようになったため、一般的な関心が高まっています。
現在、音楽療法そのものは厚生省では医療行為と認められていません。しかしながら、最近注目されている「統合医療」(*1)の分野では、非常に重要な療法のひとつとして研究が進められ、有効な代替医療の手法として、医療現場でも、理学療法やリハビリテーションの補助に使われたり、精神科や心療内科でも用いられたりするようになっています。
ここでは、音楽療法(健康法)についての概説を知ると同時に、私たちの健康増進に役立つ最近の研究までをたどっていきたいと思います。
音楽療法と健康法

最近特に耳にするようになった、「音楽療法」という言葉。ちょっと難しいですが、その定義をご紹介します。
『音楽療法とは、「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」をさすものとする。』(日本音楽療法学会の定義)
これは、かなり広い意味での定義といえます。
研究者の中には「療法」という言葉から、「治療」を意味するものであるとして、「健康な人が疲れたときに音楽を聴いて癒される、といったものは音楽療法ではない」と言う人もいるようです。
しかしながら、予防医学的な観点から、健康な人がストレスなどにより不健康にならないよう、音楽を利用して心身の健康を保とうとすることは、いわゆる「音楽健康法」として、ここでご紹介する音楽療法の中に入れて考えてみたいと思います。





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