―こころに効く話、こころで聴く話。― こころのあり方が自分を変える。チベットに学ぶ、困難の乗り越え方。

掲載日:2008年06月02日  [1/2ページ]このページを印刷する
知らないうちに、澱(おり)のように溜まっていくこころの疲れ、よくない思い。
チベットでは、高僧らが唱える「マントラ(真言)」が、人々に、自分のこころに向き合うチャンスを与え、やさしさと思いやりに心を満たす智恵があるといいます。そんなパワーを持つ「マントラ(真言)」とは?
写真/カルマ・パルデン、クリハラミユキ  文/クリハラミユキ

チベットの人は、どうして
こころの力に長けているのか

幻とも呼ばれるヒマラヤの青いケシ
幻とも呼ばれるヒマラヤの青いケシ。高度4000m前後の高山に生育。

チベット----多くの人がいまだ訪れたことがない地域ですが、その天に突き抜けるような山々の風景は目にしたことがあるかもしれません。

そのチベットで驚くべきことは、その広大な自然と厳しい生活環境とは全く対照的に、チベット寺院を訪れると、その中は極彩色に彩られた想像力豊かな神々と聖獣、数々のモチーフに囲まれた、別世界が展開されていることです。

あれほどシンプルな環境の中で、どうしてそこまで鮮やかな想像力豊かなこころの世界を描き出すことができるのでしょうか。

その答えのヒントとなるのが、チベット人の心を深くささえるチベット仏教の僧・尼僧らの存在です。学校も少なく、十分な識字率とはいえない地域も多い中で、彼らは幼い頃から、相手を思いやる「慈悲の心」の大切さ、そして自分の内面に向き合う時間を持つことを学んでいます。解決できない悩みは家族や僧とシェアし、自分と向き合い、僧らとマントラ(真言)を唱え、祈るのです。

チベット僧・尼僧
チベット僧・尼僧は、各家庭からひとりは出家していた時代もあったというほど、コミュニティの中心的存在であり、かつ、人々のアドバイザーでもあります。

マントラ(真言)は、
人生の質さえ変える、究極の癒し

レベルの高いマントラ(真言)に出会った人は、総じてこういいます。
「ものすごく懐かしく感じます。何度聞いても心地よくて安らぎます。」
「美しい響きはとても感動しました。じっとして聞いていると、とても深い安らぎを感じます。」
もしくは、「とても大きな空間が広がっている印象をうけました。聞き終わってすがすがしい気持ちになれました。」

マントラに出会うタイミングに意味がある人によっては、こんな気づきを感じた人もいらっしゃいました。「とても気持ちが落ち着きます。なぜこんなにマントラに惹かれるのか?不思議だったのですが、<中略>私は今、今後の人生の生き方を問われていることに気づきました。」

実際にチベットでは、マントラは、僧以外の人々によっても日常的に唱えられており、「いただきます」のマントラも存在します。しかし、平和や調和といったレベルが高い祈りのマントラは、普段、自分でも気づかないこころの深い部分に作用していく、と高僧、尼僧らは口をそろえて言います。

「ルンタ」もしくは「タルチョ」と呼ばれる、幸せへの祈りが込められた五色の旗
チベットの峠などには、「ルンタ」もしくは「タルチョ」と呼ばれる、幸せへの祈りが込められた五色の旗が幾重にも供えられます。祈りは風に乗り、四方八方へ届けられる、と信じられています。

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